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行き先はSHANTI

タイ ピーピー島(2003)

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さよならインドをした直後に、
ダイレクトに東京に戻らなくてよかったとつくづく思う。

私より三日先にバンコク入りしていた、
インドで会った友人とバンコクで合流する。
彼女はあまりのインドとタイのカルチャーギャップに、
ほとんど部屋を出られないでいた。

ごちゃごちゃカオスのはずだったバンコクは、
インドで半年を過ごした後に見ると
とても整備が行き届いているように見えた。

牛の落とし物がどこにでもあったインドで、
すっかり下を見ながら歩く癖がついてしまっている。
「そんなもんここには落ちてないよ」
同じことをさっきまでしていた友人に指摘される。

そうだ、だって牛がいないんだもん。
インドのむちゃくちゃカオスを思い出し、切なくなる。
映画を見にショッピングモールに行く。
久しぶりのエスカレーターに緊張する。

「お茶していこうか」
「そうだね、そうしよう」
「……」
「…ほんとに、お茶したい?」
「…帰りたい」

ツルツルぴかぴかキラキラのショッピングモールは
どうも居心地が悪くて、そそくさ帰ってきてしまう。
2日後には、南の島に向かうバスに乗っていた。

インドから日本にダイレクトで帰ったら、
適応するのに苦労するのは目に見えていた。
タイで過ごした1ヶ月は、
インドから日本にシフトする間のワンクッションになってくれた。

東京生まれ、東京育ちなのに、
日本に帰って戸惑うものがたくさんあった。

トイレットペーパー、こぎれいな街の人々、
ぴかぴかネオンと満員電車。

戸惑うたびに、インドで見た、安っぽいポスターを思い出す。
インドには、いまいち主旨がわからないメッセージがはいった、
大判のハデハデポスターがレストランやゲストハウスの中によく貼ってある。

例えば、おむつをした赤ちゃん(白人)が
つぶらな目をしてバラを握っている。
もちろんソフトフォーカスである。
そしてそこには "God is love" の文字。

どこかちぐはぐなものばかりで、
しかも同じポスターをあちこちで見かける。

その時見たポスターも、その一枚だった。
何回も同じポスターを見ていたはずだった。
草原の中の庭付き洋風一軒家。それだけ。
横に書いてある言葉は、
"Home is where your heart is."
(ハートのあるところが故郷)

そうだよなあ。ほんとにそうだよなあ。
何回もみていたそのポスターに、ある時いきなりハッとした。
くさい台詞って、だてに長いこと生きてない。
生きていくことなんて、突き詰めればくさいことばっかりだ。

「私のハートはインドにある」
なんて知ったようなことはいえない。
日本だって大好きだもの。
でも、ハートがあるところってひとつじゃなくてもいいなあ、とも思う。

※五年後の註:これは津波の前に書いたもの。
あれからピーピー島にはもどっていません。
美しい島と美しい人々を思い出すと胸が痛いです。
本来の意味の復興にはとてつもない時間と労力がかかると思いますが、
島の人々の笑顔がもどることを心より願っています。

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by shantiriot | 2007-09-27 21:24 | 初インド旅エッセイ

RIO :天然石とシルバーの一点もの中心のジュエリーブランドShanti Riotのデザイナー。インドネパールを中心に旅しつつ制作しつつ、まったりとエキサイティングな日々を送っています。Home is where your heart is.
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