2007年 09月 27日
インド北部 ガンガトリ(2003)

母なるガンジス河の源、ガンガトリ。
ガンジス河というとバラナシが有名だが、
インド北部を横断するように走るガンジスは、
バラナシよりはるかに北東のガンガトリから始まっている。
ガンガトリはインドにおける、
ヒンズー教最大の聖地のひとつ。
何たって川幅1kmくらいになるだろうガンジス河が、
二つの岩に挟まれた隙間から
ごうごうと音をたてて、滝となっておちている。
その幅、せいぜい私が両手を広げたくらいで、よくて2m。
見ているだけでなんだかビリビリしてくる。
ガンガトリで、偶然イギリス人旅行者の友達に再会する。
彼はもう一週間もいるという。
どんなにここがスペシャルな場所かを熱く語り、
自分の散歩コースを案内してくれた。
落ち葉を踏み分け、道でない道を歩く。
「ここは一人でいろいろ感じながら歩いたほうが絶対いいよ」
そう言って、彼はさっさと先に行ってしまう。
散歩コースの終わりに、断崖絶壁になっている場所があって、
彼はその淵に立っていた。
「ここに立ってみて」
私が極度の高所恐怖症だということを
知っているのにそんなことを言われる。
とんでもないよーと言う私に、こう言った。
「崖っぷちに立ってから、
怖いと思うまでには間があるはず。
その間隔をなるべく長くするんだ。
恐怖をブロックしてごらん」
怖いと思うまでの時間を引き延ばすなんて!
初めてトライしてみた。
結局、最後には怖いという気持ちはやってきた。
でも、確かに間はあった。
恐怖は、やってくるものだったんだ。
最初から、怖いものは怖いのだと思っていた私には
目からウロコだった。
彼が自分のこめかみをトントンとたたいて笑った。
「すべてはここにあるんだよね。」
by shantiriot
| 2007-09-27 21:09
| 初インド旅エッセイ