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インド全域ロックダウン。


インド全域ロックダウン11日め。

南インドのゴア州にいます。

私は元気です。


3月22日日曜日、

全インド完全ロックダウン。


その直前にインドの電車も全て止まる。

140万人を雇用するインド鉄道会社が止まる、ってすごいこと。

インド国内線の飛行機も全て止まって

もちろんバスも走らなくなり

13億人の移動手段が全てストップした。


とはいえ、3月22日日曜日の時点では

「1日だけのロックダウン」という意味不明のふれこみで

「1日だから買いだめとかしないように」と

モディ首相自ら強調。


この時インドはすでに、これからしばらく国際便が飛ばなくなることを宣言していた。

自分の国に帰れなくなることを恐れた外国人ツーリストは

バタバタと予定を早めて自分の国に帰りはじめていた。

レストランもビーチも市場も日に日に人が減っていっている。


ゴアのツーリストシーズンの終わりが、例年より2週間早くきた感じかな。


ただ、全インドロックダウンといえど、

ゴア州の感染者はこの時点でひとり。

危機感はまだそこまでではなかった。


だから、とりあえず土曜に食材だの酒だの買い込んで

1日家に楽しくこもればいいくらいのつもりでいた。

この1日は、あくまでも「練習」で、次にもっと長いのがくるんだろうな、くらいだった。


それが、日曜の夕方には1日のはずのロックダウンが3日に延長と発表される。

その発表の次の日には10日間延長(3月末まで)にかわり、

間もなく、ついに21日間(4月14日まで)の全インドロックダウンがスタートした。


最初の数日間は、今日はこの店が開く、いやそこは閉まってる、

今日は一歩も出るな、という情報が交互に出される。

今日は1歩も出るなというおふれが一番厳しかった時は、

警官があちこちに立っていて、

外に出ている人を竹の棒でバシバシ叩いている映像がSNSで流れる。

(通称バンブーマッサージ。インドの警官は銃を持っていません)


でも、買い占めするな、大丈夫だから!

だってロックダウンはたったの1日だから!と言われていたのが

いきなり3週間になっちゃった訳で、

こっそり開いている店にこっそり行かなきゃいけない人が後をたたない。

さすがに、警察の憂さ晴らしのようなバンブーマッサージに批判が殺到し

間も無くその勢いはなくなった。


でも厳しかったときは、

おそらく人が集まっているのを監視するため、のヘリコプターが聞こえたし、

軍隊がパトロールに駆り出されていた。

これは厳密に言うと軍隊ではなくて、市民をコントロールする役割の人たちで

逮捕をすることができない。だから逮捕するかわりに、うさぎ跳びさせたりしていた。

うさぎ跳びよ?この映像もSNSで出回っていた。

私の住んでいる地域では、幸いそこまでオーバーヒートしていなかったみたいだけど。


そんでもってインドのモディ首相が、コロナウィルスを、

「外国人ウィルス」とか呼んじゃったものだから

外国人差別がまきおこり、ゲストハウスを追い出されたり、

(しかも宿は新しいゲストを受け入れることを禁止されているので

追い出されたあとの行き場がない)

コロナ呼ばわりされて石を投げられたり

ひどい話も聞いた。


ゴア州の、私がいる地域は治安もよくて落ち着いているので

幸いなことにローカルが外国人に怒りをぶつける、

などの話はあまり聞かないけど、

ゴアの外国人の友達が、八百屋にいったら

十分ある野菜を売ってもらえなかったり

道でちょっと止まっただけで

ローカルの人に、明らかにいやーな目をむけられたりとか

ちょこちょこそんな話も聞いていた。

なんかあったら、盛り上がりやすい国民性ゆえ、

矛先が外国人に向けられなければいいな、と

ちょっと私も緊張していた。


でも、ロックダウン10日をすぎると、

そこここで小さく開いている店に

モノが入ってくるようになった。

人々も殺到せずに、さらっと買い物に行くことが可能になってきた。

ゴアは、インドきっての観光地だけど

もともとは漁村で、今は魚がよくとれるシーズンなので

今朝は漁船は出払っていたみたい。

とはいえ市場には持っていけないので、

こっそり漁師の家で売ってるんだそう。


買い物していい時間が決まっている訳ではなく

基本的には外出禁止。

でも、政府がロックダウンはじめに言っていた、

自治体ごとにオーダーをとって必要最低限の食材を配達するシステムが

いつまでたっても見えてこない。

だから、小さい店や、スーパーの一部は開いていて、

モノがあれば買える。


でもそこに人がたかってはいけないので

売るほうも買うほうも緊張だったのだけど、

10日たって慣れてきたのか、

今朝買い物に行ってくれたうちの相方は、

道に人は少ないけど、ピリピリした感じが落ち着いたと言っていた。

警官が立ってはいるけど、どちらかというと

人がたかるのを防ぐ役割、みたい。

買い物は、選択は限られてるけど、まだだいじょうぶ。

今はなんでもありがたい。

いつもは絶対買わない、甘くて添加物ごっそりのインド製マヨネーズも

拍手で迎え入れられた。

もっとも外国人が多いゴアはもともと輸入食材も多くて

ここはかなり恵まれている環境。(しばらく輸入はないけどね)


行き場がなくなったツーリストに、

ただで泊めてあげるよ、というゲストハウスが出てきたり、

主に、自分の故郷に帰りそびれた日雇い労働者のために

無料でご飯を配ったりするレストランも。
オーダーして店でピックアップ、を始めるレストランも出てきた。

昨日は、ゴア政府から、

「家主は、ツーリストを追い出してはいけない」

「家主は、やむを得ず滞在せざるを得ないツーリストに家賃を払わせてはいけない」

というお達しが。(家賃を払わせてはいけない、と言っても、払われない家賃の補償の話はセットではない)


私は立派なキッチンがある快適な住まいがあって、

幸いパートナーもいっしょで、おまけに

助け合えるコミュニティもあって、

おかげさまでちゃんといいもの食べられています。

冷蔵庫ぎっしりです。味噌もある。醤油もある。

インフラがストップしていないので、

会えなくても、ネット様様で近い友達とも遠い友達とも連絡を密にとっています。

久しぶりの友達に連絡したりされたりで、そこはありがたい。


コロナウィルスの感染予防対策は、

特権階級のものだと、インドにいるとつくづく思う。

インドには、マスクや消毒液や手袋どころか、

水にもろくろくアクセスできない人たちがたくさんいるのです。

シャワーも週1回、みたいな人たちに

1日何回も手を洗え、しかも清潔なタオルでふけ、なんて非現実的。


そういう事情により、

一度ブレイクしたら、感染が広がるのも早いと考えてのこの早期ロックダウン、なんだろうと。

3月25日の時点で、感染は519人、死者10人。(3月31日現在、感染1251人、死者32人)

インドの人口、13億3400万人。(2018年)

インドの人口は、今更だけど中国に次いで世界第2位。

あまりに人が多いので、バスが一台谷に落ちて40人死亡、なんていうニュースは

全国ニュースとしては小さい扱い、くらい。

人の死が軽い、というより、人口が多すぎて

事故死をいちいち追っていられない、というのが現実なんだろうと思う。

だからこの数で、ロックダウンに踏み切ったのは、

他国と比べると早い決断だった。


この決断で、一番の打撃を受けるのはまぎれもない貧困層。

インドの日雇い労働者は1億人と言われている。

いきなりのロックダウンでその日暮らしの人たちは明日のご飯も食べられなくなった。

その上、住んでいた借家を追い出され、

都市部に出稼ぎに来ていた人たちは、電車も止まっている今

やむを得ず、食べ物も水もそこそこに、デリーやムンバイなどの大都市を脱出し、

自分たちの村をめざして歩きだしている。

今、自分の故郷を目指して歩いているインド人、5000万人とも言われています。

何百キロの旅路。辿りつけるのか、辿りついても受け入れてもらえるのか

コロナウィルス以外もで救えない命が出てくるかと思うと、

もう、本当にもどかしくて胸が痛みます。


ロックダウンされる家がある、食べ物もあるってどんなに恵まれているんだろう。


ゴアに取り残されてしまった外国人をひきあげるために、

ヨーロッパ各国からチャーター機がゴア空港に来始めています。


同じ敷地内に住んでいるイタリア人も、明日の便でゴアからイタリアに帰ることに。

少なくとも4月14日まではゴアに滞在せざるを得ないと覚悟していたのに

今朝急にイタリア便が出る知らせがきて、バタバタです。


今のところ、日本への臨時便はデリーからしか飛んでいない。

ちなみに、ゴアからデリーまでは、電車だったら20時間はくだらない距離。

フライトも電車もないなか、車を調達して行くなんてありえない。

デリーからの東京行きの便に、

どうにかほんとに大変な思いをしている日本の人たちが乗れますように。

私はだいじょうぶ。元気です。毎日ヨガするようになりました。

繰り返しますが、ロックダウンされる家がある、

食べ物もあるってどんなに恵まれているんだろう。


ロックダウンされたタイミングが、ゴアでほんとにラッキーだった。

これが首都デリーの知らない宿、とかだったらこうはいかなかった。

今一番大変な思いをしているのは間違いなく私ではない。

一番大変な思いをしているのが自分だった時、なんてないんだけど。


ちなみにゴアは埼玉県くらいの大きさで、ロックダウン時の感染者数は、1人でした。

ついこの前の、東京の人出の写真を見て、心底びびりました。

補償がなくて自粛「要請」が続いたら、複雑な気持ちで開けざるを得ないお店ばかりだよなあ。

日本の対応の後手後手ぶり、外から見てると異様です。

東京、かなり心配。楽観的なことが言えないけど、とりあえず東京の実家に米は送った。


例年どおりだと、4月半ばから後半までゴア、それからインドを北上し、

ネパールに行って制作にいそしむ、のかいつものパターン。

だけどもちろん全部ひっくり返り、予定がたちません。

4月半ばまでゴア、ってのはどうやらそうかもしれません。


私も、いきなり帰国!なんてことがないとは言えないけど、

今はかろうじて飛んでいる、デリーから東京の臨時便も、4月9日から15日までは休便。

どちらにしろ、隣町までも行けないのに、デリーまでなんて行けません。


今年の流れがぜんぜん見えませんが、それ全世界同じだよね。

なぜかオリンピックの日程だけ決まってるけど。(なんで?)

とりあえず、しばらくはこちらにいることになりそうです。


ありがとう。私は元気です。


インド全域ロックダウン。_d0132132_21422500.jpg

ロックダウン二日前のサンセット。海行っておいてよかった。

今は、超近いのに超遠いビーチ。













by shantiriot | 2020-04-01 21:43 | 日々のつぶやきもろもろ

RIO :天然石とシルバーの一点もの中心のジュエリーブランドShanti Riotのデザイナー。インドネパールを中心に旅しつつ制作しつつ、まったりとエキサイティングな日々を送っています。Home is where your heart is.


by shantiriot
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