連休後の平日、休みの人出が嘘のように、谷中の町は、
シャンティすぎるくらいシャンティで、
もうあたしも谷中散策行っちゃおうかなあ、
と思っていた頃、ひとりの女性がやってきた。
「たぶん覚えていないと思うんですけど。。。」
どこかで見たような、でもどこだっただろう、
どこで出店したときだったかしら、酔っぱらってナンパしたのかしら、
と、拙い頭のデータベースをフル回転させていたら、
「私、能村さんと同じ高校だったんですよー」
同じ高校でしかも同じ部活(ブラスバンドだったの)で、
クラリネットを吹いていた
大塚まゆちゃんだったことが判明。
私は高校二年生でアメリカに10ヶ月留学していて、
帰国してからもう一度日本で高校二年生をやった。
なんでもとの学年とは卒業が一年ずれている。
つきあいが今でも続いているのは
圧倒的に二度目の二年生をやったときの学年が多い。
にしても同じ部活だったのに顔が思い出せなかったのが申し訳ない。
名前を言われて、ああっ!と思って、
「そうそう、大塚まゆちゃんっていた!」
「私です」
「そうそう」(ごめん!)
「いいの、ほとんどしゃべったことなかったし。」
「で、なんでまた今日ここに?」
話を聞くと、彼女は今、高尾在住。
8月に高尾のお店 Toumai で 展示をした時に
アサヒタウンズというフリーペーパーの八王子版が、
私を取材してくださったのだけど、
その記事を、展示が終わったあとに見つけたのだそう。
あ、これはあの能村さんだ!
と思って、ブログを見たら、芸工展出店が今日までだと知って、
会いに来てくれたのだった。
そして、彼女は高校を卒業してから働いていたのだけど、
一念発起して美大に入り直し、二年前に卒業(!)
今はガラス作家で、おまけに今、青山でグループ展の真っ最中!
http://www.czj.jp/karanis/tenrankai0917.html
「高校の時、ほんとはしゃべりたいなあと思ってたんだよね、
でも私おとなしかったし」と言われて本当にびっくりした。
私は、こういっちゃなんだが、その頃から
個性豊かといえば聞こえはいいけど、
どちらかといえば独自の路線のやかましいキャラクターで、
おまけに見た目もかなりやかましかったので、
ひとと違うのはしょうがないなあ、と思いつつ、
でもおとなしい人って私にはひいてしまうんだろうなあ、
無理もないよなあ、と思っていた。
だから、約20年ぶりの再会でそんなことを言われて、心底びっくりした。
彼女が作っているガラスの技法は、パート・ド・ヴェールという。
この前の日に来てくれた先輩が、「今ガラスを習っていてね、
そのガラス技法が、パート・ド・ヴェールというんだ」
と教えてくれたばかり。「へー、聞いたことない単語だー」
と言っていた矢先。
しかも、同じ日に、やはり社会人になってから、彼女と同じ美大に入り直した
別の作家さんの話を聞いたばかり。
すごいシンクロ具合にびっくり。
彼女の個展は、もう行く時間がとれなそうなのが
ほんとに残念!
高校の時、確かにおとなしかった大塚麻由ちゃんは、
「今でもおとなしくないわけじゃないんだけどね」
と恥ずかしそうに笑っていたけど、その笑顔がね、すてきなのよねー。
芯の強い、しっかり自分を持っている感じに、
新たに友達になりたいと思ったのだった。
偶然の名を借りてつながっていくさまざまな縁。
つくづく面白いし、ありがたいよね。